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執筆者の写真のむら NEO

連載エッセイ「好きだ」~ランチアデルタが好きだ。(4)

 運転席に座ると、統一されたデザインのメーター類が目を引く。すべてアナログ(針)で、どこか航空機のコックピットにも見える。動かないメーターが一つある。壊れているのだろうと放っておいた。ある時、視界の隅でピッコンと動いた。ターボが効いた時だけ動くブースト計だったのだ。デジタルメーターも一個ある。天井にある時計で、ストップウォッチモードがある。これで何を計るのか。何分息が止められるか?あの人が何分遅刻したのか?タイムアタック用ではないだろう。公道でやると叱られる。

 ハンドルの根元から生えた華奢なレバー類もいい。一つのパーツとして自己主張するような力強さを持っている。つい触りたくなるようなデザインである。

 ある時、エンジンをかけると異音がした。一度切ってかけ直すと音が大きくなった。三度目には動かなくなった。動かないエンジンを触ったことなどなかったが、積んでおいた工具でプラグを抜いてみた。正常な状態を見た事もないので異常もわからない。どうしようもない。運よく同乗者が携帯電話を持っており、販売店と連絡がついた。代車と引き替えにぼくのでる子ちゃんが連れられて行く。あたりは暗くなっていた。




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いっし―17(紹介)・・・西予市野村町出身、理系大学を卒業後、東証一部上場企業に入社、機械メンテナンス部門担当し、全国各地で活躍していたが、一身上の都合により退社。その後、地元に帰省し、17年間の自宅待機を経て、災害で自宅が浸水したことを契機に、社会復帰。現在、前職の機械メンテナンス業務を生かした仕事に就くかたわら、素朴な感性によるエッセイを執筆中。無類の釣り好きだが、おもしろいほどに釣れない。

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